2012年9月24日月曜日

橋下徹の交渉術まとめ

現時点で、驕れる偏向マスコミどもに正面切って戦えているのは橋下氏だけです。政治的なスタンスはさておき、ここではその弁舌の有り様を分析してみました。そのヒントになるのは、彼自身の著書である。


図説 心理戦で絶対負けない交渉術



目次
第1章
「脅し」と「利益」のかけひき術
(交渉相手を動かす三つの法則相手をうなずかせる仮装の利益 ほか)
第2章
相手を言いくるめる詭弁の極意
(一度オーケーしたことを覆す技術立場の入れ替えを効果的に使う ほか)
第3章
絶対負けない交渉鉄則
(交渉は圧倒的に後攻が有利紛争原因となった行為を責めない ほか)
第4章
相手をたたみ込む話術のポイント
(ピンチを切り抜ける言い訳とは結論は相手の口から言わせる ほか)
第5章
膠着状態の突破術
(相手をねじ伏せるデータの使い方交渉が停滞してきたときの突破法 ほか)



以下、緑字は抜粋です。



  • これは、私の個人的体験を通じての感想だが、思春期を迎える幼少期・少年時代の過ごし方が大事だと思う。 
  • 大阪という街で、暴走族やヤクザ、右翼と入り混じって生活をした体験は、私にとって何にも増して重要なものと言える。
  • 交渉力を高めていくうえでは、多種多様な人と接することが大事だ。 
  • 現実の交渉相手のなかには、自分と異質な背景をもった人がたくさんいる。むしろよく似た人のほうが少ない。そんな人ともめごとをうまくまとめていくことが本当の交渉なのである。



中身は、ヤクザ系や借金問題など、弁護士としての厳しい案件を勝ち抜くノウハウのようですね。

一般社会にはそのまま使えないにしても、政治的な彼の弁舌を読み解く手がかりにはなるでしょう。また、我々がトラブル(政治も含む?)に巻き込まれた際の防御(の予備知識)としては最適!…という意味で知ってトクする小技です(笑) 。

以下、引用および、彼の他の著書からの抜粋を交えて書いてみます。





仮装の利益を使いこなす 



  • 交渉において相手を思い通りに動かし、説得していくには、はっきり言って 三通りの方法しかない。 

・「合法的に脅す」
・「利益を与える」
・「"ひたすら"お願いする」 
の三つだ。

そのなかで、最も重要なのは「利益を与える」だとあげています。
彼はまた言います。交渉は、「物々交換」だと。


  • この場合の利益には二通りある。 
  • 一つは文字通り相手方の利益 もう一つは、実際には存在しないレトリックによる利益

つまり、「物々交換」において「仮想の利益」を作為的に創りだせるというのです。
その利益とはこちらが損をするような現実的な利益である必要は無いそうです。

それは2種類あって、



A「自分にとって(嘘の)マイナスになる譲歩を、相手に与える」
B「相手が自分の主張に乗れば、(嘘の)マイナスを防げる」

ひとつめAを詳解しましょう。

  • 相手方に利益を与えるということはこちらの譲歩を示すということだ。譲歩とそれに伴う苦労は、徹底的に強調し、演出すべきだ。譲歩とはよべない些細なことであっても、さも大きな譲歩であるように仕立て上げるのである。そうすることで、相手方の得る利益が大きいものであると錯覚させることができるからだ。

  • おかしなもので、こちら側の譲歩は譲歩とは言えないようなものであっても、それを提示するに至るまでの苦労を強調すればするほど、それにのらない相手方はおかしいんじゃないか、という空気がその場を支配していくことがある。オーケーを言わない相手方は、なんとなくおかしいという思いにとらわれていくのだ。これが仮装の譲歩を強調するというテクニックである。

つまり、最初に高い要求をしておいて、徐々に「しかたがないので、少しだけ譲歩てあげましょう。この譲歩はとても、辛いんですよ。大変だったんですよ。
「こちらが辛い譲歩をするのだから、あなたも何か譲歩してくださいよ。でないとこちらは譲歩しませんよ」といったあたりですね。

もともとはないもので「物々交換」に望む。
こちら側の苦労を強調するとことで、大きな利益を得た、と相手方に感じさせる。


ふたつめBは、Aの逆向きのレトリック。相手の不利益を誇張します。

  • こちらが通したい主張を提示し、従わないことで生じる不利益を強調してみる。こちら側の主張に従えば、その不利益は消えるのだから、相手方は相対的には利益を得ることになるわけだ。

例えば、「自分の主張にのれば、これこれこういう損失を防げますよね」ということです。 もちろんこの損失というのは、仮想の損失を誇張したものです。
(例)「今週中にお返事いただけなければ、決算期の関係で、次回お話しできるのは来月ですがいいですか」など。








"脅し"により相手を動かす 


  • 「交渉では“脅し”という要素も非常に重要なものだ。...あくまで合法的に、相手のいちばん嫌がることにつけ込む行為のことだ」
  • 相手のいちばんの弱みを察知しつけ込んでこそ、勝機がみえてくる」


相手の弱み、いやがることを狙って、合法的に脅しましょう。
(例:銀行「できません」、橋下「では金融庁に相談します」)

ただし、

  • 交渉の場をウサ晴らしの場とはき違えてはならない。こちらの目的は、ウサを晴らすことではなく、あくまで金銭的な賠償といった、具体的な相手の譲歩を得ることにある。それらを引き出すためには、こちら側の譲歩や戦略を考えていく方がはるかに建設的といえる。

データが威力を発揮するのは、デメリットを裏付け、強調する場面のみ。まさに、"脅し"により相手を動かすわけです。


  • こちらの主張の妥当性や、相場観などを実証するためにいくらデータを用いても効果は少ない。最もデータが威力を発揮するのは、デメリットを裏付け、強調する場面であることを知っておいてほしい。そして、デメリットを回避するためには、こちらの主張を認めるべきとの流れをつくり出すのだ。  

そして

  • 相手が揺らぎだしたら考えるスキを与えず、一気に結論に持っていく






交渉はいかに「譲歩する」かが決め手


  • どうしても通したい主張と、譲歩できる主張を明確に区別する必要がある。
  • できることならこの主張も通したい、交渉の流れのなかで判断しよう、そんなグレーゾーンを持ったままで交渉に臨むことだけは避けたい。

交渉時には、譲れる線と、譲れない線を明確にすべきとのこと。
相場感を持って設定しましょう。彼の場合は、

・大げさに盛った線(自分の被害がないもの)
・譲れる線 (自分の被害が許容範囲内のもの)
・譲れない線

の3種類存在するわけです。


もちろん。この線は、相手方にさらけ出すようなことをしてはいけませんし、味方にも秘密にすることを説いています
自分の主張を絞り込み、線引きは白黒はっきりさせグレーゾーンを残さないことが重要です。
また、交渉前にまとめておくポイントは4つ。


  • 1 今回の争いの自分なりの分析
  • 2 交渉がまとまらず裁判になったときの決着
  • 3 腕利きの示談屋が介入した場合の慣習的な決着
  • 4 今回の交渉の相手方が望んでいるであろう決着

つまり、先述の「譲れる線」と「譲れない線」を、自分と相手の「双方について」読み取っておくことが肝要。
相手の本当に欲しいもの(本当は欲しくはないもの)を見わけることで交渉が有利に進められます。

  • 交渉術には、先手必勝という考え方はない。先攻は明らかに不利だ。常に“後出しジャンケン”で攻める。相手方の手は何かを見極めたうえで、自分の手を考えていくべきだ。

基本的に、相手に先攻させる。

時間や金額などの条件はこちらからいってしまうと動かせなくなってしまうからです。圧倒的に、後攻が有利です。






不利な形勢の逆転法 


たとえ不利な状況に陥っても、絶対に謝ってはいけません。

  • 交渉では謝罪からのスタートは明らかに不利である。
  • 交渉の場において、誠意を何とか示そうとして動く人が実に多いが、この点については厳しく戒めておく。交渉の過程で相手方に誠意をみせるために、担当者が何らかの形で動く必要は一切ない。相手方が誠意という言葉を使ったときは、具体的な交渉内容に引き戻す作業を必ずするべきだ。


では、最初から相手が理不尽な要求をしてきたときはどうでしょうか?
(答え)キレましょう。ピシャンと扉を閉じてしまいます。



  • 理不尽な相手にはこっちも理不尽になって開き直り、ゴネても無駄ということをわからせる。


相手も理不尽とは分かっているでしょうから、交渉が必要であれば妥協から再交渉になります。その時点で、交渉のペース(主導権)を握れています。



  • 「交渉の途中で、自分の発言の不当性や矛盾に気づくことがたまにある」
  • 「心のなかでは、“しまった”と思っているのだが、そこはポーカーフェイスで押し通す。
  • どんな不当なことでも、矛盾していることでも、自分に不利益になることは知らないふりを決め込むことだ。相手方に指摘されるまではほうっておく


もし運悪く相手方に気づかれてしまったらどうするのでしょうか。
まずは話をすり替えるようです。


  • ありえない比喩による論理のすり替え法。まったく無関係な比喩によって、相手の主張が間違っているかのような錯覚に陥らせる。
  • 「話をすり替える」
  • 「一方的にまくし立てる」
  • 相手方に無益で感情的な論争をわざとふっかけるのだ」 
  • 劣勢になったら、わざと感情的になって場を混乱させ、流れを変えてしまえ
  • 『交渉の流れが不利になってきたら(答えたくないことを聞かれたら)、不毛な議論をふっかけて煙に巻く。』 (註:例「ああ!そうですかっつ!それが何か?何ですか、言えば逮捕されるんですかっ??」)
  • 「"脅し"により相手を動かす。」(註:先述)


さらに、「知らぬ存ぜぬ」も使います。

  • 謝罪を少しでも遅らせるという意味で、「知らない」「聞いていない」は有効に活用できるフレーズとなるはずだ。
  • 「こちら側が相手方に迷惑をかけている立場の場合、依頼会社の一部の社員が以前に悪態をついていたりすると、それだけで不利な要素を背負い込むことになってしまう。そんなとき、やむをえない手段として、『知らない』『聞いていない』という言葉を使うことになる。特にこちらの不手際で相手方が感情を害してしまったときなどは多用する


それでも追い込まれたら一旦流れを切ります。トイレに行ったりします。ダメといわれたら、「漏れてもいいの?」と返します。

それでもだめなら最後の手段は「お願い」すること。泣き落とし、場合によっては土下座も有効とのこと。

  • お願いは非論理的な手段。相手の価値観に訴える効果的な内容を考える。
  • お願いをする相手はこういう泣き落としを理解してくれるような人であることが前提になる。





一度なされた約束ごとを覆す


  • 私だって交渉でせこいことはたくさんしている。オーケーしたことは反故にしていくし、責任転嫁も徹底的にする
  •  一度なされた約束ごとを覆す方法論は、交渉の流れを優位に運ぶ重要なものだと考えている
  • 具体的には自分の言ったことに前提条件を無理やり付けるのである
  • 前提条件は、相手がその時点で満たしていないもの、満たしようがないものをわざとつくる。
  • いわば仮装の条件である。満たされないような条件をわざと付け、今、満たされていないのだから、一応オーケーしたことでもこちらは約束を果たせないという論法で逃げる

約束の範囲外だと主張するのですね。
(例「合意するには、御社の親会社も参加するというお話でしたが・・。できないなら、以前の合意は無効です」)

そして、もうひとつ方法があるようです。

  • 前提条件を無理やりつくるという他に、オーケーした意味内容を狭めるという方法もある。




全般的な補足 



  • 交渉は自分のペースに持ち込む。

  • 最初に丁寧な挨拶をしてペースをつかむ。

  • 相手の主張を自分の言葉に置き換えながら聞くことで、相手の主張の本質を見極める。

  • 相手の情報を聞き出し、自分の情報は与えない。

  • いかに相手を得した気持ちにさせるかが大事

  • 何か言われたら、必ず言い返すことが大切。論理的な返答でもいいし、相手がカチンとくるようなことでもかまわない。けっして、“ふん”と黙ってしまわないこと

  • 声の音量に関しても同じで、相手方に負けてはならない。どんなに大きな声を出してきても常にそれを上回る音量を出すことが大事だ
     
  • (相手の)交渉窓口はひとつにする必要がる。相手が変わるとこちらの有利なことを反故にされてしまう。
     
  • 相手の非を責め、主張の正当性を争う愚を行ってはいけない。ウサ晴らしではない。(註:あくまでも条件交渉に集中すること)
     
  • 相手が揺らぎだしたら考えるスキを与えず、一気に結論に持っていく
     
  • 結論は相手の口から言わせる
     
  • 交渉のラストシーンは握手で締める。それをできるかぎり目指したい。
     



以上です。

参考:http://blog.chakuriki.net/archives/51308402.html ほか